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テニス版「ウイイレ」を創り出す

大人気のスポーツゲームと言われて思い浮かぶのは、サッカーを扱う「ウイニングイレブンシリーズ」や野球を扱う「パワフルプロ野球シリーズ」などで、チームスポーツを題材にして、好きな選手を育成したり、チームを組んで対戦したりといった内容で多くのユーザーに親しまれています。

これらのゲームジャンルはファンタジースポーツと呼ばれ、実在するスポーツ選手を用いたシミュレーションゲームに該当します。

「Fungiball」は、数あるスポーツの中でもテニスに着目し、ファンタジーテニスプラットフォームを提供するフランスのスタートアップです。最近、€2.2M（約3.64億円）のプレシード資金調達に成功し、注目を集めています。この企業は、テニスファンに没入型の体験を提供すると同時に、プロテニス選手に新たな収入源をもたらすことを目指しています。

今回は同社の事業内容や国際戦略について、silicon canalsの記事を元に考察します。

グローバル展開を視野に入れた成長戦略

「Fungiball」のCEOであり創設者のJean Matias氏は、テニスにより多くの興奮とエンゲージメントをもたらしたいという願望からこのプラットフォームを立ち上げました。

従来、テニスはサッカーやバスケットボールのような他のスポーツと比べて、ファンタジーゲーミングの統合が遅れていました。「Fungiball」は、ファンに夢のチームを作り、選手を獲得・取引し、報酬を獲得できるインタラクティブで没入型の体験を提供することで、この課題に取り組んでいます。

「Fungiball」は今回の資金調達を活用し、プラットフォームの拡大とユーザー体験の向上を図るとともに、国際展開を開始する予定です。具体的には、北米を皮切りに、ヨーロッパやアジアへの進出を計画しています。

Matias氏は、ヨーロッパについて「主要なテニス大会と熱心なファンコミュニティの本拠地であり、私たちにとって自然な次のステップである」と述べています。また、アジア市場については「日本、中国、インドなどの国でテニスが急速に成長しており、デジタルエンゲージメントとファンタジースポーツへの強い欲求がある」と分析しています。

さらに、「Fungiball」は2人のテニススーパースター、Daniil Medvedev氏とAlexander Zverev氏を公式大使として迎え入れました。これにより、プラットフォームの認知度向上と信頼性の確保を図っています。

テニス界に新たな可能性をもたらす取り組み

「Fungiball」の取り組みは、テニス界に新たな可能性をもたらす可能性を秘めています。このプラットフォームは、ファンにユニークな体験を提供するだけでなく、プロテニス選手、特に新進気鋭の選手に新たな収入源をもたらすことを目指しています。

収益モデルとしては、選手カードのオークション販売とセカンダリー取引市場の提供があります。これにより、トップティアの選手だけでなく、新興の選手にも公平な金銭的利益の機会を提供しています。実際のトーナメントでの成績やファン層の成長に応じて、カード価値と需要が増加する仕組みとなっています。

また、「Fungiball」は地域のテニスクラブ、アマチュアトーナメント、ジュニアテニスプログラムとのコラボレーションも計画しています。これにより、アマチュアの選手たちにもプロフェッショナルな側面と繋がる機会を提供し、テニスコミュニティ全体の活性化を目指しています。