エディトリアル:フランス万歳!

フランス万歳!
「発展途上国のスラム街で拾われ、肉体労働者や家事使用人階級の質素な家庭に養子として迎えられた子供が将来文化大臣になれるような国は、世界中見渡してもあまりないでしょう」――2016年2月13日、フルール・ペルランはフランソワ・オランド大統領のもとで大臣を務めた4年間を、感極まった様子でこう振り返った。42年前、韓国でキム・ジョンスク(金鍾淑)として生を受けた彼女は、フランスという国に引き取られ、育てられて、ついには共和国の大臣の座にまで(言うならば)「引き上げられた」のである。この遥か遠き地の孤児が辿った驚きの半生には、日本との接点もあった。ESSEC(エセック経済商科大学院大学)の学生だった彼女は卒業前の企業実習を東京で行い、当人の記憶によれば「上野駅でお菓子を包装して販売した」という。初めての職業体験が日本と結び付いている他のフランス人(実は結構多い)と同様に、彼女もそのときの体験を忘れ難い思い出として今も記憶に留めているらしい。
フルール・ペルランの驚くべきキャリアは、波乱に富んだこの時代にもフランスという将来の希望があることを思い起こさせてくれる。歴史が課した試練をその都度乗り越えてきたフランスは、いつも動乱の世に射す一筋の光であり続ける――なぜか?
フランスは欧州連合の創設を牽引した国のひとつであり、世界最大の富を有する欧州域内で第2位の人口と第3位のGDPを誇る。また大陸ヨーロッパ最大の株式市場と世界最大の債券市場を有し、銀行や商品流通、航空・自動車産業などあらゆる経済セクターで業界を牽引する代表的な企業を擁している。さらに観光では他国を大きく引き離し、世界で最も観光客の多い国としての地位を堅守。テロ事件の発生にも関わらず、2015年の訪仏外客数はさらなる増加を記録した。
フランスが直面する様々な問題も、国がその誇りを見失わなければ必ず解決できる。そんなフランスが手にしている特別な鏡、それが日本だ。日本はアジアNo.1の対仏投資国であり、フランス人と同じ企業家哲学を有し、両国は互いに足りないところを補い合う理想的な関係にある。ルノーと日産のパートナーシップは他に類例のない企業提携の成功例だ。数ヵ月前、オリックスとヴァンシ・エアポート社が関西国際空港など巨大空港の運営にあたる新会社を共同で設立したとのニュースも、日本がいかにフランスの人材やノウハウに信を置いているかの表れといえよう。こうした事例は、他にも数週間前に決定された新日鉄住金のバローレック社に対する出資や、数ヵ月後を目処に実施予定の三菱重工によるアレバへの出資(先ごろ発表)など、枚挙に暇がない。日本によるこれらの投資は、フランスに対する同国の信頼の証だ。日本はこうした投資を通じ、今日フランスが直面する危機的状況から何とか抜け出すための手助けをしてくれている。今私たちに求められているのは、前を向くこと。シンプルに、そして決然と――フランス万歳!。

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