マシーンの時代がやってくる
2017年はかつてないロボティクスの 年、すなわち日本のための年であった。
成長するロボット業界
ロボット保有台数の増加は、そのうち日本の人 口調査でカウントされるようになるだろうか?国 際ロボット連盟(IFR)が10月半ばに東京で刊行 した年次報告書を読むと、ロボット産業の大盛 況と、この業界では相変わらず日本が不動の地 位にあることが分かる。2017年には38万1千台 のロボットが売り捌かれ、全世界の産業用ロボ ットの売上は30%、価格は21%急上昇した。5年 間で、ロボット産業の規模は2倍以上に膨れ上が っている(2013年以降、+114%の上昇)。ニュー スではペッパーやアイボタイプの大衆ロボット がもてはやされることが多いが、こうした娯楽用 ロボット部門は産業ロボット部門に比べてずっ と規模は小さい。というのも、2017年、娯楽用ロ ボット部門の4億ドルに対し、産業ロボット部門 は66億ドルの利益を生んでいるからだ。「はっき り言って、ペッパーは「ロボット」と呼べないとす ら思います」安川電機社長でIFR会長でもある津 田純嗣氏はこう断言する。同社は日本を代表す るロボットメーカーの一つだ。 企業各社は良い時期にロボット工学に投資し たと言えるが、難しい時期にもまた、コスト削 減のため投資していると言ってよい。あらゆる 部門が需要を迎えており、特にロジスティクス は2016年比で2倍の受注をこなした。医療用ロ ボットと農業用ロボットの売れ行きもまた好調 だ。家庭用または娯楽用ロボットの方は、売上を 2017年比で25%超伸ばしている。
さらなる成長へ!
今日、世界中の工場で380万台のロボットが「就 業」している。とは言え、ロボット業界は未だ道 半ばであるにすぎない。「弊社の予想では、2021 年、全世界の企業に対するロボット販売数は63 万台に達する見込みです」と、津田氏は満足そう に語る。「我われは、商品の生産量がより減少し、 より頻繁にモデルチェンジする「ハイミックス、ロ ーボリューム」のリズムに入りつつあります。ロ ボット労働力は、この新たな情勢に見合ったも のなのです」こう説明するのはIFRのスティーブ ン・ワイアット副会長だ。では、雇用はどうなるの か?IFRの大御所たちは、何かと言えばロボット 化を失業率の上昇に結びつける人びとを一蹴す る。「ロボットは雇用に取って代わるのではなく、 「タスク」に取って代わるものです。ロボットは 人間を反復的なタスクから解放し、人間が、仕事 のよりクリエイティブな部分に集中できるように してくれるのです。ロボットがいなければ、携帯 電話はより高価になるでしょうし、グーグル検索 もできなくなるでしょう。ロボットは雇用を破壊 するのではなく、創出するのです」津田氏はこう 説く。その良い例は日本である。地球上で最もロ ボット化の進んでいるこの国では、失業率は2パ ーセント前後なのだ。
ジャパン・アズ・ナンバーワン
国際ロボット連盟の報告書は、合計で世界のロ ボット市場の4分の3を占めている5つの市場と して、中国、韓国、米国、ドイツ、日本を挙げてい る。日本はさまざまな点で突出しているが、その 第一の点は、世界市場に占めるシェアの大きさ だ。世界で販売されているロボットの実に56% が日本製である。こうして日本は、その「競合相 手」の生み出す産業的活力の恩恵をどこよりも 先に受けている。そして、その優位を保っている。 中国は昨年、たった一国で世界のロボット販売 台数の3分の1を購入しているが、国産のロボッ トの割合は減り、日本など海外のメーカーのロ ボットの割合が増えた。最後にグッドニュースを 挙げておくならば、日本はロボット輸出が増加し ているのみならず、同国内のロボット販売もま た、かつてないほど好調だということだ。日本で は今日、製造業労働人口1万人当たり308台のロ ボットが用いられている。これはかなり高い割合 である。日本は世界第4位に位置することになり (韓国が710台で他の国々に大きく水を空けて いる)、中国(97台)はそれに遠く及ばない。しか し日本はその栄冠に安心してはいられないはず だ。「2年前であれば、日本は難しい時期にある と言えたでしょうが、今はそうは言えません。日 本人はその地位から転落する危険に気づいた からです」中国メーカー、クーカの北米支社長ジ ョセフ・ジェンマ氏はこう指摘する。 ではフランスはどうだろうか?おそらく「フレン チ・テック」に酔いしれているのだろう、ロボット 業界のどこにもその姿は見当たらない。