日本にはグリーンがお似合い

ミシュランのおかげで日本を発見する外国人…そして日本を再発見する日本人

旅行者のバイブル
日本は観光大国でありながら、残念ながらその自覚がなかった。2009年、日本を旅する旅行者のバイブル「ミシュラン・グリーンガイド」が誕生した。最新版はびっしりと詰まった720ページから構成され、フランス語圏と英語圏の初心者向けにあらゆる角度から日本が紹介されている。このガイドブックに意外な読者層が現れたらしい。それは日本人である。
同ガイドブックに日本語版はない。「グリーンガイドの典型的な読者は、限られた訪日期間中に日本での滞在を最大限楽しみたいと思っている外国人旅行者です。」そう説明するのは、同ガイドブックを発行する日本ミシュランタイヤ社長のベルナール・デルマス氏。ところが日本人は、再発行の度にこの書籍を徹底的に調べるそうだ。観光業界の関係者は、今や戦略の上で欠かせない外国人顧客を獲得するため、自分たちが関わる観光施設がミシュランの「星」に褒め称えられる日を夢見る。福岡市経済観光文化局理事の合野弘一氏は「ミシュラン効果」を「ガイドブックに掲載されたレストランで席を予約するのは不可能です」と語る。福岡市にとって観光は主要な産業となっており、2014年には120万人の外国人旅行者がこの素晴らしい都市を訪問した。2013年に比べて33%の増加である。

再発見
熱はとどまるところを知らない。福岡市は2014年に、有名な情報誌モノクル(Monocle)によって最も住みやすい都市に選ばれた。旅行業界のあるフランス人関係者は、「グリーンガイドの目的は、その国について説明をすることです。ショッピングのための住所を掲載しているわけではなく、写真も多くありません。学識のある読者をターゲットとしています。このため質の高い観光を求める、洗練された顧客層を獲得するのに役立ちます。このような顧客層は、後に大衆顧客が洗練されていくに連れて彼らを導く先導役の役割を果たすのです。」と語る。
他方、グリーンガイドは日本人が自国を再発見するきっかけにもなっている。東京から30分に位置する高尾山は、グリーンガイドで3つ星に認められてから人気を巻き返した。「ミシュランのおかげで、福岡の料理がいかに優れているかということに地元メディアは気づきました。このような意識の変化が書籍やテレビ番組となって表れています」と合野弘一氏は語る。

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