満室!

日本のホテル業界はこれまでにない成長を遂げている。この成長は今後も長く続くと言われている。

幸運
株式ブローカーは日本株を売るために語る「ストーリー」をようやく見つけた。それは観光業である。観光産業にかかわる全てのものが投資家の目を惹きつけている。特にホテル業が顕著だ。日本のホテル業界は今、実にご満悦だ。福島の惨事に次ぐ収益の落ち込みの時期を経て、宿泊施設の売り上げは現在爆発的に伸びている。モルガン・スタンレーによれば、2012年の同業界の売上高 (宿泊のみ) は1.5兆円であったが、2018年に倍増する見込みだ。また、今から3年前の客室稼働率が75%であったのに対し、2018年には90%という記録的な水準に達すると見られている。しかし最も重要なデータは、外国人による客室需要が2018年には16%(すなわち2012年の4倍)を占める点である。今や外国人観光客は同産業の成長の真の原動力となっている。経済成長および人口増加と密接な関係にある日本人の客室需要は停滞している。今後、その需要が増えることはないだろう。

止まらない成長
熱は冷めそうもない。むしろその逆だ。モルガン・スタンレーが行った試算によると、2015年から2018年にかけて、日本人観光客の客室需要は毎年1.5%ずつ増える見込みだ。他方で、外国人観光客の需要は毎年25%ずつ急上昇するものと見込まれる。これは3年間で延べ2,100万泊の追加需要で、既存の需要と合わせて計 2億100万泊となる。この需要に対して、同期間の日本における客室供給の増加は800万泊に過ぎず、すべての需要を満たすためには2,000万泊が不足する。その後にラグビーワールドカップ(2019年)とオリンピックが控えていること、またこれらのイベントによって需要がさらに増えることを忘れてはならない。
客室不足が宿泊料の高騰を招くのは疑いの余地がない。日本は今ではホテルが安い国となった。ホテル業界専門のコンサルタント会社STRによると、日本での平均宿泊料は1泊当たり14,599円、つまり現在の為替レートで122ドルである。これはヨーロッパ、アメリカまたはアジアの大都市に比べて30~60%安い値段である。東京はマニラまたはフランクフルトよりも安い。モルガン・スタンレーによると、平均客室料は2018年に140ドルに急騰するとのこと。それでは現在、ホテルでの宿泊が最も高い都市は?答えはパリ!

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