観覧席から

テニスの全仏オープン。理論上、錦織圭は楽勝のはずだった。数週間前から、クレーコートで理想的なテニスをしていた世界ランキング5位の錦織。フランス人テニスプレーヤー、J.W.ツォンガより1日多く休息日を取れた。しかし、ゲームコンディションは彼に罠を仕掛けていた。ゲーム中に吹いた強風が、ほとんどフラットに打つ彼の精密な打撃ポイントを重大なミスへと誘う不安定なものにしたのだった。
錦織は第3、第4セットで彼本来のテニスを再び取り戻すが、第5セットで改めて経験不足を露呈した。ツォンガの素晴らしいサービスに対し、ハードコートや芝コートでの「花火」のようなテニスで立ち向かおうとしたが、クレーコートではそうはいかなかった。彼はおそらくテクニックを変え、ベースラインからの打ち合いに応じるべきだったのかもしれないが、最後まで自分のスタイルにこだわった。伝説のテニスプレーヤー、マッツ・ビランデルがしばしば言っているように、「クレーコートでは自分のテニスはできない。相手にミスをさせるのだ。」これはナダルが10年前から小惑星のように回転し、肩の高さまで跳ね上がるボールを相手に、行っていることなのだ。誰もコントロールできない。ウイニングショットをする必要はないのだ。
錦織にとって今回の失敗は前向きなものである。この先、クレーコートで行われる戦いのデータを新たに、収集できたからだ。パリにおいて、準決勝まであと1セットまで迫っていた。トーナメントで勝つチャンスだってあった。錦織に最も向いているのはハードコートかグラスコートだと言われている。私が思うに、彼が見つける角度によっては、クレーコートは彼に具合の良いものになるだろう。とりわけ彼の素晴らしいバックハンドによって。また来年、会いましょう。

全仏オープン 準々決勝 (2015年6月1日)
ジョー=ウィルフリード・ツォンガ vs 錦織圭
6-1、6-4、4-6、3-6、6-3

フローラン・ダバディ、WOWOWで全仏オープンを解説

このページをシェアする Share on FacebookShare on TwitterShare on Linkedin