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マーケティング委員会:バカラ、250年の歴史と日本との関係

マーケティング委員会(委員長:フィリップ・ジャルダン氏)は2016年9月28日、アンスティチュ・フランセ東京にてバカラパシフィック株式会社代表取締役社長の小川博氏をゲストに迎え、フランスのブランド「バカラ」の日本におけるマーケティング戦略に関するセミナーを開催した。

バカラと日本
日本では、「バカラ」は文化的、精神的価値を持つフランス発の老舗ブランドという特別なイメージを有する。こうした価値は、小川氏が「人生のあらゆる大切なひとときに、傍らに置いていただきたいもの」と定義する考え方に表れている。113年前、日本にはじめてバカラを輸入したのは、大阪の茶道具・古美術商だった春海藤次郎氏だ。夏の時期にさわやかな印象を伝えようと、春海氏は茶懐石のために特別仕様の器をバカラに注文した。以来、これらの器は「春海好み」と呼ばれる。その頃からすでに、日本文化とフランス文化の融合が見られたのだ。「バカラにとっては、日本市場に参入する理想的な方法でした。」

バカラと日本の皇室
1909年、バカラは日本の皇室からはじめての注文を受ける。以降、注文は続いた。1921年、当時の皇太子が「パリの思い出?それはルーブル美術館とバカラです」と語っている。1999年には天皇陛下御在位10年の記念に、また2003年には天皇陛下御生誕70歳のお祝いに、日本の皇室は外交上の贈り物としてバカラを受け取っている。

日本市場
バカラは、日本市場に参入してから何度か困難に直面した。当時、ほぼ皆無であった流通網の構築にはじまり、日本語の「バカ」という単語の意味にまつわるイメージの問題も存在した。「日本でクリスタルを販売することが難しい時期もありました。(クリスタルは)繊細で壊れやすい、食器は透けないものとされている日本では、透明なクリスタルは器には稀なものと考えられていました」。さらに、「春海好み」からの伝統で、顧客はバカラに夏のイメージをもっていたため、当時からクリスタルを一年のうち夏以外の季節に販売することは困難であった。

日本市場へ根を下ろすため、「フランス流の文化と洗練さといった角度でマーケティング戦略を取りました。日本人は歴史を好みますが、奥行きを感じさせる歴史の場合はなおさらです。バカラはその例です」と、小川氏は語る。今日、バカラのマーケティングは、エモーション(感性)や文化、アール・ド・ヴィーヴル(生活美学)、旅といった視点で考えられている。「長い間、ターゲットから外れた存在だった女性や若年層は、今では重要なターゲット層となっています」。バカラ、それは「フランス文化を旅すること」そのものである。1998年以来日本はバカラの世界市場のトップ市場であり続け、1984年にはわずか2%の売上シェアでしかなかったが、現在は市場全体の35%のシェアを占めている。

この記事の翻訳は、以下の企業の協力で行われています。
有限会社プリモ
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